イタリア料理の雑学などを書いています。お暇があればお読みください。
イタリア料理は、今日の冷凍技術が確立されるまでは各地方での食材や調理法の格差が大きく、ひとくちにイタリア料理といえないものでした。
北イタリアでは、スイスなどの様に乳製品(主にチーズや生クリーム)を多くつかい、シシリア島では、アフリカからの影響を受けたクスクスなどが多かった様です。
また、日本を含む諸外国でのイタリア料理というイメージで多い、オリーブオイルやトマトを多用する料理はナポリを代表とする南部の料理だったようです。
それから、南部や北部に限らず、海岸部では魚介類を多く使い、山間部では獣肉などが多く食されていたようです。
もともと、イタリアとして国が統一されたのも19世紀になってからのことで、それまではフィレンツェやジェノバ等というように小国家に分かれいた為、特に統一された『イタリア料理』としての認識がなかったようです。
個々のイタリア料理の原型は非常に古く、古代ローマ時代より贅沢な宮廷料理が発展していました。
そのおかげで、イタリア料理は西欧料理で随一の存在であり、各ヨーロッパの国々の料理に大きく影響を与えました。
今では世界3大料理といわれるフランス料理も例外ではありませんでした。
16世紀にフィレンツェの名門貴族メディチの娘カテリーナさんがフランス王家のヘンリー2世さんに嫁ぐまでフランスではフォークなどを使わず、そのまま手で食事をしていました。
そこにカテリーナさんが持ってきた銀食器や洗礼されたテーブルマナーがフランス王家や貴族を驚かせ、大きく影響を与えました。
いうまでも無く、イタリア料理人も連れてきていたので、料理自身もずいぶんと研究され、吸収されました。
その後、フランスは王家の面目を保つ為、料理やマナーといった食文化に力を入れ、イタリア料理を追い越すほどの存在になりましが、その背景にはイタリア食文化の強い影響があることがわかります。
それが、イタリア料理が西洋料理の母と呼ばれる所以です。
今では、イタリア全土で使用する食材が多彩になってきており、ようやく地域どおしの格差がなくなってきました。昔なら港町でしか食べられなかった魚介類の料理もイタリア全土で食べられるようになり、オリーブオイルやにんにく、トマトを多用するお馴染みのイタリア料理が、現代を代表するイタリア料理として体系化されてきました。
パスタは、昔からイタリア全土でよく使われていた食材ですが、先述の独立した地域性の為に、その種類も多様です。
すこし話は変わりますが、よくイタリア旅行に行って、外国人が現地のレストランでスパゲティーだけを注文することが多いのですが、実は現地ではマナー違反なのです。
もともと王宮料理が主体となっているイタリアでは、単品だけを食べず、必ずメイン料理(肉か魚)の前に1~2品前菜を注文する習慣があります。
なので、前菜(通常は2品目の前菜)であるスパゲティーはメインの前に注文するものなのです。だから、レストラン側としては、前菜だけを食べて帰るお客さんを見ると不思議に思うようです。
しかし、単品だけを食べない習慣と書きましたが、ピザだけは例外です。
もともとピザはナポリの軽食で、ピザだけを売る(今で言うファーストフード)店ができ一気に普及しました。
だから、ピザだけは前菜を食べないという習慣ができたのです。
イタリア南部に住むシシリア島の人達は、動物性脂肪を摂取するわりに健康で長生きと言われています。
その背景には、身体に良い食材をたくさん使っていること、野菜や果物を多く摂ること(日本人の1.5倍)、魚介類を多く食べることだといわれています。
では、その身体に良いとされるイタリア料理特有の食材の一部をご紹介します。
オリーブオイル
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、一価不飽和脂肪酸で、酸化されにくく善玉コレステロールは下げずに悪玉コレステロールだけを下げる働きがあるとされています。他にも美容と健康に効果のあるビタミンEや抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれています。
トマト
日本でも昔から『赤なすが赤くなると、医者が青くなる』と言われるように、トマト(赤なす)は健康食品の優等生です。トマトには色素成分であるリコピンが豊富で、活性酸素から身体を守る抗酸化作用が強く、その作用はベータカロチンの2倍といわれています。また、加熱して摂取することで吸収力がさらに2倍になるとも言われています。その為、トマトソースを使うイタリア料理は理想的なトマトの摂取方法なのです。
チーズ
チーズの原料である牛乳はビタミンやミネラル、たんぱく質などのバランスが良く、完全食品のひとつです。その牛乳を濃縮したチーズには、カルシウムも濃縮されていますが、さらに蛋白質と結合した状態なので、吸収されやすくカルシウム摂取には最適です。また、乳糖も多く含まれています。この乳糖は、胃や小腸では吸収されず大腸まで届くため、ビフィズス菌などの善玉菌の餌となり、整調作用も期待できます。また、チーズに多く含まれてい るアミノ酸のメチオニンは、肝臓の働きを助け、アルコールの分解を助けます。ワインにはチーズがよく合いますが、相性が良いのは味だけではないのですね。
ハーブ類
ハーブについての研究は、まだ途上段階なのですが、最近になりその効果が徐々に解明されつつあります。
イタリア料理でよく使う・・・
バジルは食欲増進、消化促進効果があり、脂っこい料理に使用すると胃がもたれにくくなります。
ルッコラには、カロテンが多くふくまれていて、その量は小松菜よりも多いといわれています。このカロテンには抗がん作用があるとされ、がん予防や老化防止に役立つと考えられています。
オレガノは、古代ギリシャの防腐剤として使われていました。その性質上、抗菌作用や抗炎症作用が期待されています。
この他にも、健康効果が期待できる点としては、日本食に比べて低食塩であることや動物性食品と炭水化物、野菜のバランスが良いことなどもあげられますが、とてもこのページだけでは書き尽くせません。
健康的な地中海料理のなかでもイタリア料理は、わたしたちの舌に合う、日本人に嬉しい料理です。